- ペットの仕入れ・医薬品費が先払いで毎月の資金繰りが苦しい
- 法人取引(ペットホテル・トリミング契約など)の入金が遅い
- 銀行融資が通らなかった
ペット関連事業の資金繰り問題
ペットショップ・動物病院・トリミングサロン・ペットホテルなどのペット関連事業では、動物の仕入れコスト・医薬品費・フード仕入れなどが先払いになる一方、法人契約(企業の福利厚生・施設との契約など)の売掛金の入金が遅れることがあります。
特にペット保険が絡む動物病院では、保険会社への保険金請求から実際の入金までにタイムラグが発生するため、診療自体は順調でも手元の資金繰りが厳しくなるケースがあります。
この記事では、ペット関連事業の資金繰りが詰まりやすい理由を業態ごとに整理したうえで、ファクタリングの対象になる売掛金と、ならない売上の見分け方、手取り額の考え方、ほかの選択肢との比べ方を説明します。ファクタリングは、手数料がかかる資金調達の選択肢のひとつです。
業態ごとの、お金が詰まりやすい理由
ペットショップ
生体を扱うペットショップでは、動物が売れるまでの間も、フード、ケア用品、光熱費、動物の健康管理の費用などが、日々かかります。商品が在庫として残る期間が長いほど、先に出ていくお金が積み重なります。
犬や猫の販売には、法律上の決まりもあります。動物愛護管理法では、販売業者は、生後56日を経過しない犬猫を、販売、販売のための引渡し、展示することが禁止されています。仕入れから販売までの時期を自由に調整できない面があることは、資金繰りを組み立てるうえで考慮すべき点です。また、動物を販売、保管、貸出し、訓練、展示などの事業として行う場合は、第一種動物取扱業の登録が必要で、事業所ごとに動物取扱責任者を置く必要があります。施設や管理の基準を守るための費用も、継続的に発生します。
動物病院
動物病院では、医薬品、検査・診断に使う機器、スタッフの人件費などが、先に出ていきます。診療費は、多くの場合、窓口でその場で受け取れますが、ペット保険の仕組みによっては、一部の入金が保険会社経由で後になります。
トリミングサロン・ペットホテル
トリミングサロンやペットホテルは、連休や年末年始、夏休みなどの時期に、予約が集中しやすいとされています。繁忙期に向けてスタッフを増やす、備品を用意するなど、先に出ていくお金が増えます。一方で、閑散期でも、家賃や人件費などの固定費は変わらず発生します。
業態別・対象になる売掛金一覧
「うちの業態は対象になるのか」を判断しやすいよう、業態別に整理しました。
| 業態 | 対象になりやすい売掛金 | 対象外になりやすいもの |
|---|---|---|
| ペットショップ | 法人向け卸売、フランチャイズ本部との取引 | 個人客への店頭販売(現金・カード) |
| 動物病院 | ペット保険会社への保険金請求、企業の福利厚生契約 | 個人客の窓口会計(保険対象外分) |
| トリミングサロン | ペットホテル・宿泊施設との業務委託契約 | 個人客のカット・トリミング代 |
| ペットホテル | 企業との法人契約(出張者向け提携など) | 個人客の宿泊予約(現金・カード決済) |
ペット保険会社への診療費の請求や、法人契約のペット関連サービス費用の請求書は、対象になる場合があります。保険会社との契約内容によって異なるため、詳しくは、次の「動物病院:ペット保険と入金の仕組み」で説明します。
動物病院:ペット保険と入金の仕組み
ペット保険の保険金の受け取り方には、大きく2つの方法があります。ひとつは、動物病院の窓口で診療費を全額支払い、飼い主が保険会社に書類を送って保険金を請求する「後日精算」です。もうひとつは、一部の保険会社が提供する、窓口で保険で補償される分を差し引いた自己負担分だけを支払う「窓口精算」です。窓口精算に対応する動物病院は限られており、同じ保険でも病院によって対応が異なります。
窓口精算を扱う動物病院では、診療を行ったあと、保険会社が負担する分の診療費は、病院が保険会社に請求して受け取る形になります。診察の数が多い病院ほど、この「保険会社への請求から入金まで」の期間に、立て替えている金額が大きくなります。
保険会社に対する請求権が、ファクタリングの対象になるかどうかは、一律に言えません。保険会社との契約書に、債権の譲渡についての条項があるか、ファクタリング会社が取り扱っているかによって、結果が異なります。2020年4月施行の改正民法では、譲渡制限がある債権でも譲渡自体は原則有効とされていますが、債務者(保険会社)が支払いを拒める場合があるなど、注意点があります。契約書を確認し、相談時に、保険会社への請求権が対象になるかを確認してください。
診療費のうち、飼い主から窓口で受け取る分は、その場で入金されるため、売掛金は発生しません。ファクタリングの対象になるのは、あくまで、後払いで入金される「請求権」です。
ショップ・トリミング・ホテルの法人取引
個人のお客様への販売や利用は、現金・カード・電子マネーなどの、その場払いが中心で、ファクタリングの対象になる売掛金は発生しません。対象になりうるのは、次のような、後払いの請求書がある場合です。
- ペットホテルや宿泊施設、イベント事業者などとの、業務委託契約に基づく月次の請求書
- ペット関連の商品を、事業者に卸して、後払いで請求している場合の売掛金
- 企業の福利厚生や、提携サービスとして、利用料を法人に請求している場合の請求書
- フランチャイズ本部との間で、精算金や還元金が、後日支払われる契約になっている場合
これらは、請求書の宛先が法人・事業者であることが基本です。請求書の金額が小さい場合は、対応できるかどうかが、会社によって異なります。売掛先が信用力のある企業であるほど、審査が進みやすい傾向があります。
2社間か3社間か
取引先に、資金調達の事実を知られたくない場合は、取引先への通知をしない2社間ファクタリングが候補になります。一方、3社間は、取引先への通知や承諾が必要ですが、一般に手数料が低くなる傾向があります。取引先との関係や、手数料を見比べて決めてください。詳しくは「2社間・3社間ファクタリングの違いと選び方」をご覧ください。
自社は対象になる?チェックリスト
以下のいずれかに当てはまれば、ファクタリングを相談できる可能性があります。
- 企業・法人との継続契約がある(福利厚生、施設提携など)
- ペット保険会社への保険金請求を行っている
- フランチャイズ本部・卸売先への請求書が発生している
- 請求書ベースで後払いになっている取引先がある
個人客からの現金・カードでのその場払いのみの場合は、そもそも「売掛金」が発生していないため対象外です。ファクタリングは「すでに発生している請求権」を現金化する仕組みであり、将来の売上を前借りすることはできません。
手取り額の計算例
ファクタリングでは、請求書の金額から手数料が差し引かれた額が、手元に入ります。次の表は、説明のための仮定です。実際の手数料率は、契約形態、売掛先の信用力、金額、会社によって異なります。
| 請求書の金額(仮定) | 手数料率 | 手数料 | 手元に入る金額 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 5% | 1.5万円 | 28.5万円 |
| 30万円 | 10% | 3万円 | 27万円 |
| 30万円 | 15% | 4.5万円 | 25.5万円 |
手数料のほかに、債権譲渡登記の費用や、事務手数料がかかる契約もあります。比べるときは、「実際に手元に残る金額の総額」で比べてください。何度も繰り返して使うと、手数料が積み重なります。継続的に使う場合のコストは、「継続利用のメリット・デメリット」で試算しています。
売掛金がないときの選択肢
ペット関連事業では、個人のお客様の売上が中心で、そもそも売掛金がほとんどない事業者も多くあります。その場合、ファクタリングは選択肢になりません。次のような方法を検討します。
- 日本政策金融公庫などの融資(創業期や小規模事業者向けの制度があります。条件は公式サイトで確認してください)
- 小規模事業者向けの補助金(後払いが多く、入金まで時間がかかります)
- 仕入れ先との、支払条件の相談(支払日を後ろにずらせないか)
- 在庫と固定費の見直し(仕入れの量や時期、設備の使い方)
それぞれの比べ方は、「売掛金がない会社のファクタリング以外の資金調達5選」と、「資金調達サービス比較ツール(診断つき)」で確認できます。
契約前の確認事項
ファクタリングを利用する場合は、次の点を確認してください。1社だけで決めず、2〜3社の条件を比べることが大切です。同じ請求書を複数の会社に売ることはできません。
- 契約書に、手数料のほかの費用(登記費用、事務手数料など)がないか
- 償還請求権(売掛先が払えないときに買い戻す義務)がない契約か
- 売掛先との契約書に、債権の譲渡についての条項がないか
- 2社間か3社間か、取引先に知られる可能性はあるか
- 会社の所在地や運営者が確認でき、契約書を書面で受け取れるか
業者の見分け方は「怪しいファクタリング業者の見分け方」、失敗しやすい点は「ファクタリングで失敗する人の共通点7つ」で説明しています。
よくある質問
まず無料で「いくら調達できるか」確認する
売掛金・請求書があれば、早く資金化できる場合があります。手数料や契約内容を確認し、複数社で比べてから決めましょう。相談だけでもできます。
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📝 この記事のまとめ
- 法人取引の売掛金があればペット関連事業でもファクタリング活用可能
- 動物病院の保険請求・法人契約サービス費用が主な対象
- 個人客の現金・カード売上は対象外のため法人取引の有無が重要
- 兼業している場合は売掛金ごとに個別判断される
- まずは無料相談で自社の請求書が対象になるか確認するのが最初の一歩