😰 こんな悩みを抱えていませんか?

士業の資金繰り問題

税理士・社労士・行政書士・中小企業診断士など、専門資格を持つ士業では役務提供後に請求・後払い回収という構造が一般的です。月次顧問料・申請代行報酬・許認可申請料など、サービスを提供してから入金まで30〜60日かかることが多く、事務所の家賃・人件費・ソフトウェア費用は毎月先払いになります。

特に独立開業直後は、顧問先の数がまだ少なく、単発の申請代行案件に頼る割合が高くなりがちです。単発案件は実費(登録免許税、印紙代など)を先に立て替えるケースもあり、資金繰りが読みにくくなる要因になります。

ここでは、士業が報酬の請求書をファクタリングで現金化するときの、対象になる報酬、注意点、ほかの方法との比べ方を、順に説明します。なお、ファクタリングは手数料がかかる資金調達の選択肢のひとつです。法律・税務の判断が必要な点は、所属する団体や専門家に確認してください。

請求と入金が偏りやすい時期

士業の仕事は、時期によって忙しさが偏りやすい特徴があります。たとえば、税理士は決算や申告の時期、社会保険労務士は労働保険の年度更新や社会保険の手続きが重なる時期、行政書士は許認可の更新や申請が集中する時期があります。どの時期に仕事が増えるかは、事務所の顧客層や得意分野によって異なります。

忙しい時期は、補助者の残業代や、提携先への外注費、システムの利用料など、先に出ていくお金が増えます。一方で、報酬の請求は業務が完了してから行うため、入金は翌月以降になります。反対に、閑散期は報酬が少なくなりますが、家賃や人件費、会費、保険料などの固定費は、毎月変わらず発生します。

この「先に出て、あとで入る」というズレが、士業の資金繰りを読みにくくします。売上そのものは足りていても、ある月だけ現金が不足する、という状況が起こりえます。

士業別・対象になる報酬一覧

士業対象になりやすい報酬
税理士法人・個人事業主との月次顧問契約料、決算申告報酬
社会保険労務士手続き代行報酬、給与計算代行の月額顧問料
行政書士許認可申請の代行報酬(建設業許可、飲食店営業許可など)
中小企業診断士経営コンサルティング契約料、補助金申請支援報酬
弁理士特許・商標出願の代行報酬

いずれも、法人クライアントへの請求書があれば、ファクタリングを相談できる場合があります。クライアントが信用力のある企業の場合は、審査が通りやすい傾向があります。個人クライアントへの請求は、対象外となることが多くあります。

💡 単発案件の実費立替との関係

許認可申請などで登録免許税・印紙代を先に立て替えた場合、立替の実費そのものはファクタリングの対象になりませんが、業務完了後の報酬部分の請求書は、対象になる場合があります。その資金を、次の案件の立替に回す、という考え方もあります。ただし、手数料がかかるため、実費は預り金として先に受け取れないかを、先に検討してください。

報酬の種類別・使えるか使えないか

同じ士業でも、報酬の種類によって、ファクタリングに出せるかどうかは変わります。一般的な考え方を、次の表にまとめました。実際の可否は、会社や契約の内容によって異なるため、相談時に確認してください。

報酬の種類対象になりやすさ考え方・注意点
月次の顧問料(法人)対象になりやすい毎月の請求額と支払期日が決まっており、請求先も明確です。
決算・申告・手続きの報酬対象になりやすい業務が完了したあとに発行する請求書で、支払期日が決まっていることが条件になることが多いです。
許認可などの申請代行報酬対象になりやすい業務の完了後の請求書が対象です。申請が受理されるまで請求できない契約の場合は、請求の時期を確認してください。
着手金・前受金対象外のことが多い業務の提供前のお金で、請求の根拠が固まっていないと見られる場合があります。
成功報酬確認が必要成果が確定し、請求できる状態になった後の請求書であれば、検討できる場合があります。
立替実費・預り金対象外登録免許税や印紙代などの実費は報酬ではありません。対象になるのは報酬部分の請求書です。
個人のクライアントへの請求対象外のことが多い法人・事業者への請求書が基本です。会社によって取り扱いが異なります。

注意点①:守秘義務と請求書の情報

ファクタリングの申込みでは、一般に、請求書、契約書、取引先の情報、入金の確認ができる通帳などの書類を求められます。請求書には、依頼者の名前や、業務の内容が書かれていることがあります。

士業には、業務上知り得た秘密を守る義務があります。たとえば、税理士法第38条は、税理士が正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らすことを禁じています。ほかの士業にも、それぞれの法律や会則に、秘密を守るための決まりがあるのが一般的です。

⚠️ 依頼者の情報を出す前に確認すること

請求書や契約書を、ファクタリング会社に渡してよいのか、どこまで出してよいのかは、事務所の状況や契約によって異なります。一律に「問題ない」とも「できない」とも言えません。申込みの前に、所属する団体や会、または弁護士に確認することをおすすめします。

確認のうえで進める場合でも、次のような工夫で、依頼者の情報を最小限にできることがあります。

注意点②:譲渡制限と顧問先への通知

顧問契約書や業務委託契約書に、「この契約から生じる債権を、第三者に譲渡してはならない」という条項(譲渡制限)が入っていることがあります。2020年4月1日に施行された改正民法では、譲渡制限があっても、債権の譲渡そのものは原則として有効とされています(民法第466条)。ただし、譲渡制限があることを知っていた、または重大な過失で知らなかった譲受人に対しては、債務者が支払いを拒める場合があります。

そのため、実務では、ファクタリングに出す前に、契約書の譲渡制限の有無を確認し、必要に応じて顧問先の承諾を得ておく方が、トラブルを避けやすいとされています。

2社間と3社間の違い

2社間ファクタリングは、事務所とファクタリング会社の2者で契約します。原則として、顧問先への通知は行わない形態です。3社間ファクタリングは、顧問先も加えた3者で行い、顧問先への通知や承諾が必要です。3社間は、一般に手数料が低くなる傾向がありますが、顧問先に資金調達の事実が伝わるため、依頼者との信頼関係に影響するおそれがあります。

顧問先との関係を大切にしたい士業にとっては、この点が選ぶときの重要な判断材料になります。詳しくは「2社間・3社間ファクタリングの違いと選び方」で解説しています。

債権譲渡登記と、個人事務所・法人の違い

ファクタリング会社は、債権を譲り受けた事実を第三者に主張するために、債権譲渡登記を求めることがあります。法務省の説明では、債権譲渡登記の制度は、法人が行う金銭債権の譲渡が対象です。税理士法人や社会保険労務士法人のように法人で事務所を運営している場合は、この制度が使えます。個人事務所の場合は、この制度は使えず、確定日付のある通知や承諾など、別の方法がとられます。

登記の有無によって、契約の内容や、顧問先に知られる可能性、費用が変わることがあります。契約前に、登記を求められるかどうか、費用は誰が負担するのかを確認してください。

注意点③:源泉徴収と入金額のズレ

個人の税理士や弁護士、社会保険労務士などに報酬を支払う場合、支払う側が報酬から所得税を差し引いて、国に納める「源泉徴収」を行うことがあります。国税庁の案内では、税率は原則として10.21%で、同じ人に対する1回の支払金額が100万円を超える場合は、その超える部分に20.42%が適用されます。消費税が区分して請求されている場合は、消費税を除いた報酬額に対して計算します。支払先が法人(税理士法人など)の場合は、原則として源泉徴収は必要ありません。源泉徴収の対象になるかどうかは、士業の種類や報酬の内容によって異なります。最新の取り扱いは、国税庁の案内や税務署で確認してください。

💡 説明のための仮定の例

報酬10万円(税抜)、消費税1万円の請求書を発行した場合、源泉徴収の対象であれば、源泉徴収税額は10,210円です。クライアントからの実際の入金額は、請求額の11万円から10,210円を引いた、99,790円になります。

このように、請求書の金額と、実際に入金される金額が異なる場合があります。ファクタリングで、どちらの金額が買取の対象になるかは、会社によって扱いが異なります。見積もりの際に、「源泉徴収がある請求書の場合、買取金額の基準はどちらか」を確認しておくと、想定とのズレを防げます。

手取り額の計算例

ファクタリングは、請求書の金額から手数料を差し引いた額が、手元に入る仕組みです。次の表は、説明のための仮定です。実際の手数料率は、契約形態(2社間・3社間)、クライアントの信用力、金額、会社によって異なります。

請求書の金額(仮定)手数料率手数料手元に入る金額
50万円5%2.5万円47.5万円
50万円10%5万円45万円
50万円15%7.5万円42.5万円

手数料率が違うだけで、手元に入る金額は大きく変わります。さらに、登記の費用や事務手数料など、手数料以外の費用がかかる契約もあります。比べるときは、「実際に手元に残る金額の総額」で比べてください。毎月のように使い続けると、手数料が積み重なります。詳しくは「継続利用のメリット・デメリット」をご覧ください。

ほかの方法との比較

ファクタリングは、資金を調達する選択肢のひとつです。状況によっては、ほかの方法のほうが合う場合もあります。

方法向いている場面注意点
ファクタリング入金待ちの報酬があり、短い期間で資金が必要なとき手数料がかかる。守秘義務や譲渡制限の確認が必要。償還請求権のある契約は、貸付に近い。
日本政策金融公庫の融資開業前後、設備や運転資金を、計画的に調達したいとき審査に時間がかかる。条件は変更されることがあるため、公式サイトで確認する。創業向けの「新創業融資制度」は2024年3月31日で終了している。
銀行・信用金庫の融資取引実績があり、返済計画を示せるとき開業直後は難しい場合がある。審査に時間がかかる。
請求・回収の見直し手数料をかけずに、入金時期を早めたいとき顧問先との契約や関係に左右される。

融資を含めた比較は「ファクタリングと銀行融資の違い」、売掛金がない場合の方法は「ファクタリング以外の資金調達5選」で説明しています。自分の状況に合う方法を確認したい場合は、資金調達サービス比較ツール(診断つき)も使えます。

ファクタリングの前にできること

ファクタリングには手数料がかかります。その前に、請求と回収の仕組みを見直すだけで、資金繰りが楽になることがあります。契約や業務の内容によって難しい場合もありますが、確認する価値があります。

資金繰りが苦しい状況が続いている場合は、「一人で抱え込まないための最初の5ステップ」も参考にしてください。

申込み前のチェックリスト

ファクタリングを検討するときは、次の点を確認してから契約してください。1社だけで決めず、2〜3社の条件を比べることが大切です。同じ請求書を複数の会社に売ることはできません。

業者の見分け方は「怪しいファクタリング業者の見分け方」、失敗しやすい点は「ファクタリングで失敗する人の共通点7つ」、法律面は「ファクタリングの合法性」で確認できます。

よくある質問

Q独立したばかりの士業でも使えますか?
法人クライアントへの請求書があれば、独立直後でも相談できる場合があります。クライアントの規模・信用力が審査の中心になります。
Q個人クライアントへの請求書は対象になりますか?
基本的に法人取引が対象で、個人クライアントへの請求書は対象外となることが多いです。会社によって異なるため、相談時に確認してください。
Q顧問料の月額請求書でも毎月使えますか?
毎月の顧問料の請求書を継続して出すことも可能な場合があります。ただし、手数料が毎回かかり、積み重なるため、必要な時期に絞って使うことをおすすめします。
Q士業の資格を持っていること自体は、審査に影響しますか?
資格の有無より、請求書の宛先(クライアント)の信用力が審査の中心です。法人として事務所を設立している場合は、書類の面で進めやすいことがあります。
Q守秘義務があるのに、請求書や顧客の情報をファクタリング会社に出してよいですか?
一律に判断できません。税理士法第38条は、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らすことを禁じています。請求書の記載を必要最小限にする、依頼者に説明して同意を得る、所属する団体や弁護士に事前に確認する、といった対応を検討してください。
Q顧問先に知られずに利用できますか?
2社間ファクタリングは、原則として取引先への通知を行わない契約形態です。ただし、契約内容や債権譲渡登記の有無によっては、取引先に知られる場合があります。3社間では、取引先への通知や承諾が必要になります。
Q顧問契約書に「債権の譲渡はできない」と書いてある場合は?
2020年4月1日に施行された改正民法では、譲渡制限があっても債権の譲渡そのものは原則として有効とされています。ただし、債務者が譲渡制限を知っていた譲受人への支払いを拒める場合があります。トラブルを避けるため、事前に契約書を確認し、必要に応じて相談してください。
Q税理士報酬の源泉徴収があるときは、請求額と入金額のどちらで考えればよいですか?
個人の士業への報酬は源泉徴収の対象になることがあり、請求額と入金額が異なる場合があります。ファクタリングで対象となる金額がどちらになるかは会社によって異なるため、見積もりの際に確認してください。

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