正直に言います。
「信用情報に問題があります」という状況で資金調達を探すのは、本当につらい作業です。
銀行に断られる。消費者金融は嫌だ。知り合いには頼めない。でも売掛金はある。請求書は出した。来月末には必ず入金される。今だけ、今月だけ何とかなれば。
そういう状況で、深夜にスマホを握りしめてこの記事にたどり着いた方がいると思います。
まず、結論を先にお伝えします。
売掛金があれば、信用情報に不安がある場合でも、ファクタリングを利用できる場合があります。ただし、必ず使えるわけではなく、注意すべきケースもあります。
「ブラックリスト」とは何か
そもそも「ブラックリスト」という言葉の意味から整理しましょう。
「ブラックリスト」という名前の公的な名簿が存在するわけではありません。一般には、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターなどの信用情報機関に、クレジットカードやローンの支払いの延滞、債務整理、自己破産などの情報が登録された状態を指す俗称として使われています。
これらの情報が登録されていると、銀行やカード会社、貸金業者などが融資やカードの審査をするときに、判断材料のひとつとして参照することがあります。
では、ファクタリングはどうでしょうか。
なぜ信用情報に不安があっても使える場合があるのか
ファクタリングは、利用者本人の信用情報よりも、売掛先の信用力を重視する仕組みです。
ファクタリングは、利用者が持つ売掛債権を、ファクタリング会社が買い取る取引です。一般に、融資のように「貸したお金を返してもらう」関係ではなく、売掛先からの入金によって代金が回収される仕組みです。
そのため、審査では、本人の過去の借入履歴よりも、「請求書の宛先がどんな会社で、きちんと支払ってくれそうか」「その売掛金が実際の取引にもとづいているか」が重く見られる傾向があります。売掛先が上場企業や官公庁など信用力の高い相手であれば、本人の信用情報に不安がある場合でも、審査に進める場合があります。
信用情報機関に照会するかどうかや、本人の状況をどの程度重視するかは、会社によって異なります。また、実態が融資に近い契約の場合は、貸金業の規制が関わる可能性があります。「信用情報を一切見ない」「誰でも必ず通る」といった説明は、そのまま信じず、契約内容を確認してください。
よくある相談の例(説明のための仮定)
※以下は、実在の特定の人物の体験談ではなく、一般的にありそうな状況を説明のために組み立てた仮定の例です。
過去に返済が遅れた経験があり、銀行の融資は難しいと感じている個人事業主を想定します。職人として独立し、元請けは地元の中堅企業で、毎月安定して仕事が入っています。ただし、支払いは翌月末、材料費は先払いという構造で、毎月の資金繰りに余裕がありません。
大きな案件を受注して材料費の支払いが重なると、口座の残高が少なくなります。売掛金はまとまった金額があるのに、入金は翌月末です。このような状況で、「信用情報に不安があるが、ファクタリングは使えるのか」と相談を考える方は少なくないと思われます。
こうした相談では、ファクタリング会社から「売掛先がどんな会社か」「請求書の裏付けとなる契約書や発注書があるか」を中心に確認される場合があります。
この例のように、売掛先の信用力が高く、書類がそろっていれば、条件が合う会社が見つかる場合があります。一方で、手数料の水準や入金までの日数は、会社や契約の形(2社間・3社間)、売掛金の内容によって大きく異なります。1社だけで決めず、複数社の条件を比べることが大切です。
注意が必要なケース
信用情報に不安があっても利用できる場合があると書きましたが、すべての人が使えるわけではありません。注意が必要なケースを整理します。
国税などを滞納して滞納処分を受けると、売掛金などの債権が差し押さえられる場合があります。差押えが行われると、売掛先は利用者ではなく税務署などに支払うことになります。この状態でファクタリングを使うと、売掛金の譲渡や入金に影響が出るおそれがあります。まず税務署や市区町村に相談し、納税の猶予などの制度が使えないかを確認することを優先してください。
手続きの種類や進み具合によっては、売掛金を自由に処分できない場合があります。ファクタリングを検討する前に、手続きを担当している弁護士や司法書士に、利用してよいかを確認してください。
一般に、ファクタリングの対象は法人・事業者への売掛債権で、個人への請求は対象外とする会社が多いです。個人向けのサービスや、個人からの入金が中心の事業の場合は、別の方法も検討する必要があります。
「ブラックリストOK」「必ず審査に通る」を強調する業者には注意してください。正規の会社は、審査の結果を事前に断言しないのが通常です。手数料を最初に明示しない、契約書を出さない、手数料以外の費用の説明がない業者とは、契約しないでください。金融庁の注意喚起も参考にしてください。見分け方は怪しいファクタリング会社の見分け方で解説しています。
契約によっては、売掛先が支払えなかった場合に、利用者が買い戻しなどを求められる(償還請求権がある)ことがあります。また、同じ売掛金を複数の会社に売却する二重譲渡は、法的責任を問われる可能性があります。見積りを取るのは複数社でも、契約は1社に絞ってください。
ファクタリングと信用情報の関係
✅ 一般的なファクタリングの利用が、信用情報に登録されることは通常ありません
売掛債権の売買という形の一般的なファクタリングは、借入ではないため、利用しただけで信用情報機関に登録されることは通常ないとされています。ただし、実態が貸付に近い契約や、別の借入を組み合わせた契約では扱いが異なる場合があります。契約書の内容を確認し、不明な点は会社に質問してください。
また、ファクタリングを使ったからといって、過去の延滞などの記録が消えるわけではありません。信用情報の回復には、延滞を解消し、時間をかけて適切な取引を続けることが基本になります。
信用情報の確認方法と登録期間
信用情報に不安があるときは、まず自分の情報がどうなっているかを確認することが第一歩です。CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターでは、本人が自分の信用情報の開示を請求できます(手数料がかかる場合があります)。
| 信用情報機関 | 主に登録される情報 | 備考 |
|---|---|---|
| CIC | クレジットカード・割賦販売・ローンなどの契約情報、支払状況 | 延滞の情報は、契約終了後も一定期間(5年以内とされることが多い)登録される |
| JICC | 消費者金融・クレジット等の契約情報、支払状況 | 債務整理などの情報は、発生日から一定期間(5年とされることが多い)登録される |
| 全国銀行個人信用情報センター | 銀行等の融資・カードローン・住宅ローンなど | 官報に掲載される破産などの情報は、より長い期間(7年とされることが多い)登録される |
※登録される情報の種類や期間は、機関や内容によって異なり、変更されることもあります。上の表は一般的な目安であり、正確な内容は各機関の公式サイトで確認してください。
信用情報に不安があっても、まず条件を確認する
「信用情報に不安がありますが、使えますか?」と聞くところから始めて構いません。
相談料の有無や審査の内容は、会社ごとに確認してください。
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動くときのコツ
「○○株式会社への請求書が○○万円あります」という情報を最初に伝えると、話が進みやすくなります。売掛先の規模・業歴・知名度が高いほど、審査で有利に働く傾向があります。
隠しても、あとで確認される場合があります。会社によって見る範囲は異なるため、聞かれたことには事実のまま答えてください。税金の滞納や手続き中の債務があるかどうかは、特に重要な情報です。
1社に断られても、別の会社では条件が合う場合があります。審査の基準、得意分野、対応できる金額帯は会社ごとに異なります。数社から見積りを取り、手数料以外の費用や償還請求権の有無も含めて比べてください(契約は1社のみ)。
当日中の入金を希望する場合は、会社の受付時間や、書類提出の締め切りを事前に確認してください。午後になると当日入金が間に合わない場合があります。ただし、急ぎすぎて条件を比べずに契約すると、不利な条件になるおそれがあります。
信用情報に問題があると、お金の話をするのが怖くなります。
「また断られる」「恥ずかしい」「どうせダメだ」
そう思って動けなくなる気持ちはよくわかります。
ファクタリングは、融資とは審査の見方が違います。利用者本人の過去だけでなく、今持っている請求書と、その売掛先の信用力が大きな判断材料になります。
ただし、使えるかどうかや、どんな条件になるかは、会社によって違います。焦らず、条件を比べてから決めてください。まず状況を話してみることが、次の一歩になる場合があります。
困ったときの相談先
ファクタリングはひとつの手段にすぎません。借入の返済や税金の納付そのものが苦しい場合は、資金調達とは別に、専門の窓口に相談することも大切です。
- 税金の納付に困っているとき:税務署や市区町村の税務担当窓口に、早めに相談してください。納税の猶予などの制度が使える場合があります。
- 借入の返済が難しいとき:法テラス(日本司法支援センター)や、弁護士会・司法書士会、自治体の多重債務相談窓口などで、債務整理を含めた相談ができます。金融庁などの案内では、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)が紹介されています。窓口の内容や条件は変わる場合があるため、最新の情報は公式サイトで確認してください。
- 事業の資金繰り全般:商工会議所・商工会などの経営相談窓口で、事業者向けの相談ができる場合があります。
- ほかの資金調達手段を比べたいとき:資金調達サービス比較ツールや、ファクタリング以外の資金調達、ファクタリングと融資の違いも参考にしてください。